「FADE AWAY」

2018.03.16
この春、実施年度に因んで「30(サンマル)改定」と呼ばれる6年に一度の医療・介護同時改訂が実施される。
診療報酬ならびに介護保険報酬に係る各サービスの点数が刷新されるとともに、制度の在り方やサービスの制限など細かな部分に対して新たな仕組みが通知され、この基準をもとに4月以降の報酬体系やサービスの在り方が規定されていくことになっている。
今改訂は、実は「訪問看護アクションプラン2025」を根源としており、その初動は10年前の平成20年にまで遡る。
同年5月に設置された「訪問看護推進連携会議」は日本看護協会、日本訪問看護振興財団、および全国訪問看護事業協会を主軸として、「訪問看護アクションプラン2025」を作成するに至るが、この団体の後援組織として、厚生労働省老健局老人福祉課そして
医政局総務課在宅医療推進室が名を連ねている。

設立当初より、翌21年の報酬改定のみならず、その先の10ヶ年戦略を打ち出し、地域包括ケアシステムの中心となる「訪問看護サービスの拡充と基盤整備」に向けて動いてきており、アクションプランの冒頭には「2025年を目処に高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最期まで続けることが出来るよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進する」
との一文が掲げられている。

 このプランの向うところは、訪問看護の「量的拡大」「機能的拡大」「質の向上」と「地域包括ケアシステムへの順応」だ。
弊社は刊行当初からこれを精読・分析して対応を進めてきた。
訪問看護ステーションからの理学・作業療法士のサービス提供が制限され得るかどうか・・・が一番の関心事項であったことは事実だが、厚生労働省が推進する地域包括ケア構想に対応し得る社会資源としての「多機能的なステーション」に生まれ変われるかどうか・・・も重要な観点であった。

東京都は大阪府と並び全国1,2を争う訪問看護ステーション数を抱える激戦区であるが、経営母体を分類すると二つの傾向が見えてくる。
一つは病院やクリニックが運営する訪問看護ステーションが年を追うごとに減少していること。
もう一つは株式会社の著しい増加だ。
しかも医療分野以外の他業種からの参入が激増している。
ファンドや土木・建設業、通信機器会社まで、本業とのシナジーもそこそこ見込めるのだろうが、これら他業種からの参入は人員確保から届け出業務などの開業支援を介した
準フランチャイズ型のステーションが多い。
そして、その特徴はサテライト型ステーションの比率が極めて高いことだ。
正規ステーション(看護師常勤換算2.5人)に対し、サテライト型は看護師一人でも運営が可能とされている。
そして、通常の訪問看護ステーションでは看護師:セラピストのサービス依頼比率は凡そ1:3となる。
すると必然的に、看護師とセラピストのの雇用比率をそこに合わせる事が経営を安定させる事に直結する。
それどころか、一つの正規ステーションさえ立ち上げれば、あとはサテライトステーションの人員基準を利して看護師1名にセラピスト多数という構成のステーションを幾つか運営したほうが収益効率が高いということになる。

しかし、本当にそれで良いのだろうか?

2025年までに全国の病院から病床が15万床以上(一説には30万床近く)が削減される。
これに対応すべき策が「地域包括ケアシステム」そのものなのだ。
自助・互助を謳い、地域共生を促進する側面があるにせよ、病院(入院)→家庭(在宅ケア)への移行、その際のきちんとした受け皿の整備こそがこの施策の中心であることは
否定できない事実だ。
そうであれば、先に挙げたサテライト型ステーションの乱立は、厚労省および訪問看護推進連携会議が推し進める地域包括ケアシステムには合致しない。
今改定に於いても明文化されたセラピストとの連携、従来からのケアカンファレンスへの参加などを勘案すると、看護師の負担は想像以上に大きく、然るべき人数を確保して、それぞれが分担し合わなければとてもやってはいけない。
上記の理由から、弊社は昨年看護師の雇用を一気に増やした。

そんな中、近隣の訪問看護ステーションから「月に一回、出来れば二回の看護師の訪問」がなければ訪問看護ステーションからの訪問リハビリは「違法」であり、この条件が満たされなければセラピストの訪問は継続できない」とする内容の書面をご利用者様宛に届いたと聞いた。つまり、リハビリを続けるには看護師の月一回以上の訪問を義務付けるという形だ。

周辺情報の収集とともに、その根源となる通知を探ったが、現時点で明文化されているのは、①サービス計画書及び報告書作成に関して看護師との連携を必須とすること、
および②訪問看護ステーションからのセラピストの訪問であることに対するご利用者様の同意を得る事であり、具体的な訪問回数の規定などはどこにも書かれてはいない・・・。
勿論、弊社のスタンスとて、あくまで法令遵守であり、規定されれば従うのは当然だが、
詳細が通知されていない現時点で徒に動くことは勇み足になりかねない。

今後、看護師の訪問が数的に規定されるか否か定かではないが、介護保険法の基礎理念、財政状況、人員の充足などから推し量った時に、この部分が「看護師の訪問する頻度で規定」される可能性はそれほど高くないのではないかと推測している。
例えば財務レベルで言えば、高齢人口の増加に伴う介護保険費用の自然増を少しでも減らそうとしている中で、この部分の連携を「看護師が訪問する頻度で規定」するとしたら、リハビリが必要なご利用者様の負担は一気に増えるばかりか、国や都道府県、市区町村の担う財政負担も必然的に増加する。

サービス開始の際の看護師による身体状況の確認やフィジカルアセスメントはもちろん必要だが、情報を共有するならセラピストから看護師に宛てて報告書を出せば良いし、リハビリを利用しているご利用者様のケアカンファレンスへの看護師の出席を義務付けても良いのではないだろうか。そうすれば月に何回と規定せずとも情報の共有は図れるし、費用負担も少なくて済む。

いずれにしろ、社会保障制度を支える財政負担は限界にきている。
個々の資格の「職域拡大」やそれに伴う権利性の争いに利用者が巻き込まれたりすることがあってはならない。
制度の存続は、財源が持続的に確保されることが前提なはずだ。
そしてその前に制度変更に関する「明確な必要性」が掲げられなければならない。
今こそ、介護保険制度の基本に立ち返り、その理念を踏まえて知恵を絞る時ではないだろうか。
俺達そんなに似てますかね~!?
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